夕暮れどきの西の山。
日没後の東南東の空とおぼろ月。線路南の田んぼから。
旧皐月十七日 曇り 満月 半夏生(はんげしょう)
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『万葉集』巻三第四百八十三歌
第四百八十一歌は、高橋朝臣(たかはしのあそみ)の某(なにがし:名前は分からない)が妻の死を悲しんで詠った長歌。四百八十二歌はその反歌二首中の二。
朝鳥之(アサドリノ) 啼耳鳴六(ネノミシナカム) 吾妹子尓(ワギモコニ) 今亦更(イママタサラニ) 逢因矣無(アフヨシヲナミ)朝鳥のようにただもう泣いてばかりいよう。今もう一度妻に逢う手立てもないのだから
朝鳥(あさどり)の 音(ね)のみし泣(な)かむ 吾妹子(わぎもこ)に 今(いま)また更(さらに)に 逢(あ)ふよしを無(な)み
「朝鳥の」は枕詞。「朝立つ」「通ふ」「音泣く」にかかる。鳥は朝、鳴いてねぐらを飛び立ち、あちこちに通うから。
「音(ねな)泣く」は以前にも出てきた「声を上げて泣く」。
「ねのみしなかむ」は、「のみし」が「ねなく」に割り込んでいる。「音」は名詞、「のみ」は副助詞、「し」は強意の副助詞、「泣か」は四段動詞の未然形、「む」は意志の助動詞終止形。ここで句切れ。
「よし」は「由」なので、「理由」や「由来」と言う意味を表すが、ここで内容から「手段」「方法」の意味にとった。
「無(な)み」は「ないので」。「無し」という形容詞の語幹「な」に、原因・理由の接尾語「み」がついたもの。
長歌中に出てくるが、妻は山城の相楽山(さがらのやま)に葬られているようだ。現在の京都府に相楽郡(そうらくぐん)がある。笠置町(かさぎちょう)・和束町(わづかちょう)・精華町(せいかちょう)・南山城村(みなみやましろむら)からなる。現在は郡を離れているが、木津川市もかつて相楽郡に所属した。ここに恭仁京(くにのみや;くにきょう)が置かれていた。墓所がどこなのかは不定。
相楽の地は京都府だが、平安京ではなく平城京文化圏。



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