名フィルinいなべ9

一生のうちに『皇帝』の生演奏を体感できるとは思ってもみなかった。

ベートーヴェン作曲ピアノ協奏曲第5番変ホ長調作品73のことである。
私は、数あるピアノ協奏曲の中でこの曲が1番好きである。
録音は、ゆうに100回以上は聴いている。

他の分野の音楽と違い、クラシック音楽は楽譜に忠実に演奏されることが求められる。
それでも演奏前の打ち合わせ等で、テンポや音の長さ・強弱・打数等に変更が加えられることもある。
一度録音したものは、演奏が変わることはないので、安心感はあるもののドキドキ感は持てない。
生演奏は独特のドキドキ感が味わえる貴重な体験である。

原則として市外からは出ないようにしているので、年度に1度やってきてくれる名フィルのコンサートは何よりの楽しみである。
この日のこの時間は、予定を入れないようにしている。

一般社団法人いなべ市芸術文化協会が、毎年度、いなべ市親善大使川瀬賢太郎指揮の名古屋フィルハーモニー交響楽団を招いてくれる。

今年の演奏曲は、

1.シューマンの歌劇『ゲノヴェーヴァ』序曲

恥ずかしながら未聴曲だったので、一夜漬けで予習した。
動画サイトで4種類の演奏を合計6度聴いた。
名フィルも創立以来1度演奏しただけで、今回2度目ということだった。


2.ベートーヴェン作曲ピアノ協奏曲第5番変ホ長調『皇帝』

現在『蜜蜂と遠雷』という映画が公開されている。
ピアノコンクールに参加する主に4人の出場者の行動や心情を描いた作品である。
原作は恩田陸の長編小説。直木賞と本屋大賞を受賞している。

同じようにピアノコンテストに出場する人物を描いた『The Competition(1980)』というアメリカ映画がある。
この映画の主演のリチャード・ドレイファスは、演奏曲として『皇帝』を選び続けていた。
ロシアのピアノ教師のアメリカ亡命も盛り込まれたりして、さまざまな人間模様が描かれている。
ちなみに、リチャード・ドレイファスはこの作品で、第1回ゴールデンラズベリー賞の最低男優賞にノミネートされたが、受賞を逃している。

名フィルの演奏だが、ピアニストにイタリアからグロリア・カンパネルが招かれた。
イタリアらしく? 最初柔らか目かなと感じたが、すぐに堂々とした皇帝に入っていった。
この曲は、いきなり気合の入った演奏をしなければいけないからだ。
協奏曲は、曲の途中でソリストがある程度自由に演奏できるカデンツァという部分があるものなのだが、この曲はこのカデンツァのような部分も音符にしてある。
華麗なテクニックが堪能できるのはこの部分なのだが、この曲では最初にそこから入るのだ。

協奏曲は3楽章構成が一般的だが、この曲は2楽章と3楽章が休みなしに演奏される。
3楽章冒頭は8分の6拍子で、ピアノ演奏者の左手は3拍ずつ2つに分かれていて、右手は2拍ずつ3つに分かれている。
最初はおかしな感じがしたが、何度も聞くうち、ここはこうじゃないとという気持ちが生まれてきた。
慣れとはこういうことだ。
良くも悪くも。

演奏は、「ブラーヴァ!」


3.(ピアニストのアンコール曲)ドビュッシー『月の光』(ベルガマスク組曲より)

大好きな曲を演奏してくれたので満足。
家の再生機では聞こえない音が聞こえてきて新鮮だった。


4.シューマン作曲交響曲第3番変ホ長調『ライン』

これは録音を持っているけれど、あまり聴かない。
20回くらいは聴いているはずだが。

クラシックは楽譜通りに演奏すると述べたことと矛盾するのだが、この曲はほんとに楽譜通りに演奏すると、まとまりがつかない音楽になってしまうようなのだ。
管楽器の一つひとつの音はきれいなのだが、全体では邪魔しあうこともある。
ここは指揮者の腕の見せ所。
バランスよくまとめあげていた。
家でも録音を聴きたくなった。


5.(アンコール曲)シューベルト『ロザムンデ』間奏曲3幕への導入

歌のような優しい曲。
充分です。


名フィルさん、
来年は来なくて、再来年の1月になるとのこと。
ちゃんと来てくださいね。
待ってます。

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